スタートアップ企業に必要なリスクマネジメント10選

スタートアップ企業に必要なリスクマネジメント10選 デジタルリスク

企業活動を行っていくうえではさまざまなリスクに直面し、それに対するリスクマネジメントを考えないといけない場面が多いです。スタートアップ企業が開業時にリスクマネジメントに失敗すると、その後の事業活動に大きく影響してしまいます。

今回はスタートアップ企業に行けるリスクとその回避方法、対策について紹介していきます。

リスクとリスクマネジメントの考え方

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今回取り上げる「リスクマネジメント」(risk management)とは、企業活動の中で生じるリスクを組織的に管理し、リスクによって生じる損失などの回避または低減を図るプロセス、対処法を指します。

リスクマネジメントのポイントはリスクを「ゼロ」にすることではなく、企業の事業活動で生じる、内外のさまざまなリスクを適切に管理する方法になります。

リスクマネジメントを行う上で重要なのは、リスクを正しく計り、数値化することです。

リスクを数値化するために計算する

企業が直面するリスクは

「リスク=影響×頻度」

で数値化することができます。影響も頻度も高いリスクは、企業活動への悪影響が大きすぎるため、「ゼロリスク」に近い対応を取ることが求められます。

一方、影響も頻度も低いリスクは、その積の絶対値も低いので、リスクヘッジ行動をとらなくても耐えられる場合があります。

リスクマネジメントを行う際には、その直面するリスクに対して、そもそもリスクヘッジを行うべきなのか、費用対効果を考えるとリスク回避しなくても受忍できるケースもあるか、多角的に検証します。

「リスクは100%回避しなければいけないもの」という固定観念を排して、スタートアップ企業のリスクヘッジを考えることが大切です。

リスクにどう対処すべきか!?~企業が直面するリスクとその対処法

企業がその事業活動において直面するリスクは、主に以下の5つになり、それぞれ対処法が異なります。こ5つのリスクをまずご理解ください。

リスク回避

リスクヘッジの方法として、それを避けること、回避することしかできないリスクです。「影響×頻度」の積が非常に大きなものを指します。

大災害(大地震や洪水等)の頻度は低いかもしれませんが、いざ起こった時は「リスク」ではなく「クライシス」とも呼べるものです。

こうしたリスクは回避できないと思われるかもしれません。こういうリスクに直面した場合は、逃げる一択であり、マネジメントやプロセスによって、そのリスクから一刻も早く逃げ、回避しなければなりません。

リスク予防

高齢者の自動車運転、あるいは初心者の自動車運転は講習を受けることで、事故になるリスクを下げ、予防することができます。

危険物取扱者なども同様で、しっかり講習、研修を受けることで、爆発や化学反応などが起きるリスクを未然に防ぎます。

ハインリッヒの法則で言うところの「ヒヤリハット」の事例を減らしていくことで、重大なリスクを「予防」するという考え方です。

リスク低減

多少リスクによってダメージを負ってしまうことは覚悟し、そのダメージ低減、軽減を図る方法です。

情報漏洩を予防するため、情報を暗号化し、外部からの侵入ができない状態にすること、入退室管理をカードキーによって行うことなどがケースとして考えられます。

自動車運転で考えると、事故が起きたときの被害を最小限に抑えるために、後部座席でもシートベルトの着用を推奨すること、アンチロック・ブレーク・システムなど事故の時被害を最小限にすることなど、リスクを前提にその被害を減らすための方策を考えます。

影響×頻度が中程度の場合にリスク低減の方策が採られます。

リスク移転

リスクそのものはゼロにできませんが、影響×頻度で「頻度」が小さい場合、保険に加入することで経済的な損失を防ぐことができます。

リスクを金銭的賠償に移転することができ、いざという時も人的被害がなければ十分リカバリー可能です。すべてのリスクを移転し、リスクヘッジできるわけではありませんが、お金で解決できるリスクについては、その頻度が小さければ、リスク移転によって対処が可能です。

ドライバーや自動車を自動車保険に加入させる方法などがこれに該当します。

リスク保有

影響×頻度がいずれも小さい場合、その積も小さくなります。要は、こうしたリスクは特に対策をせず、保有する、ないし受忍するという姿勢です。

リスクヘッジのために何か対策をすると、かえってコスパが悪くなってしまいます。軽作業を行う事業所で、刃物なども使わないのに、高額なけがの保険に加入するのは、いざという時のリスクヘッジにはなるかもしれませんが、ケガの頻度やケガの程度(せいぜい紙で手を切る)の見合うものなのでしょうか?

ある程度、ありのまま行っても許容できる、受忍できるリスクであれば、あえて何もしないのも1つの方法です。

ケガのリスクを恐れて外で運動をしないということはないですよね。受忍できる程度のリスクであれば、何もしないのもリスクヘッジになります。

スタートアップ企業におけるリスクの種類

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以上のリスクおよびリスクマネジメントを踏まえ、スタートアップ企業はどのように対応したらよいのでしょうか?

スタートアップ企業は、既存の企業、大企業に比べて経験(リスクに直面した経験も含む)不足であり、リスクに対応できるリソースも少ない中で向き合わなくてはなりません。

事業継続のための地盤、土台を作ることが大切です。

リスクを回避しながら、スタートアップを卒業できれば、企業の体力は増し、少々のリスクでは動じなくなります。

スタートアップ企業が直面するリスクは大きく分けて以下になります。

法令違反行為のリスク

不祥事をスタートアップ企業が起こすと即市場からの退場を余儀なくされてしまいます。

特に気を付けたいのが、法令違反のリスクです。基準を満たさずに開業してしまう、労働基準法違反の就業規則を作ってしまう、インサイダー取引をしてしまうなど、コンプライアンス違反だけでは片づけられない大きなペナルティを負うことになります。

いわゆる不祥事によるリスクが生じる場合、不祥事としていかなるものが想定されるだろうか。まず、法令違反行為があった場合が不祥事によるリスクに含まれることに異論はないであろう。法令違反行為は、例えば、以下のものが挙げられる。

営業秘密を簡単に漏らしてしまうような会社は、社会的信用度が地に落ちるので注意してください。

法令違反ではないが不適切な行為、SNS等のリスク

学生サークルの延長でスタートアップ企業を運営しようとすると、社会的に許容できないリスクを生じさせる恐れがあります。

特に注意したいのが、会社公式アカウントや経営者のSNSによる炎上、不謹慎な発言等による不謹慎な発信活動等です。

大きな会社の経営者でもSNSで失敗しているのはみなさんご存じのとおりです。スタートアップ企業でも熱心にSNSを見ている人がいます。そうした人の負の感情に火をつけてしまったら怖いことになります。

法令違反行為と異なり、明確なルールがないので、どこまでやってよいのかブレーキが利かなくなる可能性があり、積極的なPRをするつもりが、大きくマイナスになってしまったということがあり得ます。

ではSNSをしなければよいかというと、そうではないわけで、リスク予防やリスク低減の観点からしっかり社内研修を行うことが大切です。

人事労務上のリスク

スタートアップ企業はまだ従業員の雇用や就業規則の整備、言い換えると「会社の回し方」に慣れていません。

賃金未払い問題や社内ルールの未整備などは、即労働基準監督署に通報され社会的、行政的制裁を受ける可能性があります。

しっかり内部の働き方を定めてから、実際の事業を行う方が、スタートアップ時に人事労務上のリスクを負わずに済みます。

セキュリティ上のリスク

情報漏洩に関するリスクです。リスクをゼロにすることはできないかもしれませんが、低減させることは可能です。

セキュリティの脆弱さが世の中に知られると、昨今では一気に社会的信用を失います。スタートアップ企業のずさんな情報管理が問われる事案もあり、そうしたリスクを低減させることが大切です。

内部の労働環境などについて、口コミサイトや掲示板等に書かれたり、SNSで拡散されたりする可能性もあります。スタートアップ企業の労働環境について、ネガティブなイメージを持っている人も多く、意図的に情報拡散させる可能性もあります。

知的財産権の侵害などによってプロダクトやサービスの提供を差し止められるリスクもあります。「知らなかった」では済まされないことであり、自社の商品、サービスはもちろん、HPの文章やデザインなどについて、権利上問題ないことを確認してから世の中に出すことが大切です。

資金繰りがショートする倒産リスク

スタートアップ企業はまだ十分な売上が期待できない状態です。その中で過剰な仕入れや設備投資などをしてしまうと、一気に資金繰りが悪化し、不渡り、倒産リスクが現実のものになります。

倒産リスクは言うまでもなく「回避」しなければならないリスクです。資金繰りを十分なものにするためには、立ち上げた企業社会的信用度なども影響します。

法的には「1円会社」の設立も可能になりましたが、1円会社は融資を受けたり、法人口座を解説したりするのが難しいケースがあります。

資金繰りに困り、金融機関に問い合わせても「無理です」と言われてしまう可能性があります。そうなると不渡りや倒産、それを避けるために消費者金融やファクタリングに手を出す、という悪循環が続いてしまいます。

資金繰りは回避すべきリスクですので、まずここをリスクヘッジすることをおすすめします。

スタートアップ企業のリスクマネジメントの方法とは?

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スタートアップ企業はわずかなミスでも大きなリスクになります。
実績がないのですから、マイナス要素を避け、減点されないようにしなければなりません。
スタートアップ企業のリスクマネジメントは、以下のように進めるとよいでしょう。

リスクを抽出する

まず、考えられそうなリスクを抽出します。可能な限り多くのリスクを挙げることを目標にします。

想定されるリスクを網羅することで、通常では気づかないスタートアップ企業のピンチを可視化します。

リスクを測定する

抽出し、顕在化したリスクの内容について、それぞれしっかり分析していきます。

スタートアップ企業の場合、過去の経験からどうだった、ということは言いにくいのですが、実際にどのくらいの事態になるのか、数字として測定できると、次の「リスク評価」につなげることができます。

本当に回避しなければいけないものなのか、受容できるものなのか、この数字化が重要です。

リスクを評価する

リスクを数値化できたら

「リスク=影響×頻度」

の公式に沿って、どのリスクに該当するのか、リスクの評価、分類を行います。ここで適切な評価ができれば「回避」「予防」「低減」「移転」「受容」、それぞれのリスクヘッジの対応が可能になります。

リスクヘッジ、リスクマネジメントの対応を実施

それぞれのリスクに見合った対応を実施します。対応は最初、多少過剰でも構いませんが、問題ないとわかれば徐々に緩めていきます。自社の事業を縛ってしまうくらいの過剰対応は無意味どころか逆効果になります。

スタートアップ企業こそリスクマネジメントが大切

スタートアップ企業は、まだエンジンの火がつきかけの状態です。この段階でなにかリスクに直面してしまうと、一気にその火が消えてしまい、会社を軌道に乗せることができず、最悪短期間で倒産に至ってしまいます。

開業した段階で、しっかり自社を取り巻く事業を可視化、数値化し、「リスク=影響×頻度」の公式により、実施するリスクマネジメントを決めましょう。

これが上手くいけば費用対効果よく、自社を守ることができます。

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