名刺交換をした際に「ISO」や「Pマーク」などの文字が書いてある名刺を受け取ったことのある人は多いでしょう。
しかしながら、「ISO」や「Pマーク」の意味や二つの違いがわからないという方が大半だと思います。
そこで本記事では、ISOとPマークの違いやどちらを取得するべきなのかについて徹底解説しました。
ISOとPマークの違いを理解することによって、名刺を受け取った際などにどんな意味か理解することができるため、是非参考にして下さい。
ISOとは
ISOとは、スイスのジュネーブに本部がある非政府機関「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」の略です。
ISO規格は、国際的な取引をスムーズに行うために、製品やサービスを世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしようという国際的な基準となります。
この規格の制定や改定は、日本も含めた世界193カ国の参加国の投票によって決定するため、世界の大半の国は同じ基準です。
製品だけでなく、組織の活動を管理するための仕組みにもISO規格が制定されており、「マネジメントシステム規格」と呼ばれています。
ISOマネジメントシステム規格とは、会社や団体における理念の実現や経営目標の達成に向けて、組織を管理していく仕組みの国際基準です。
ISOマネジメントシステム規格の認定業務はISOが行うのではなく、ISO認定期間の審査員が行うことになっています。
Pマークとは
Pマークとは、プライバシーマークのことです。
近年、インターネットが急激に発達し、大量の個人情報がネット上でやりとりされ、処理される時代となったため、個人情報の保護が求められるようになってきています。
そこで、財団法人日本情報処理開発協会(現 一般財団法人日本情報経済社会推進協会)が通信産業省(現 経済産業省)の指導をもとに「プライバシーマーク制度」を1998年に創設しました。
プライバシーマーク制度は、事業者が取得した個人情報を適切に取り扱うための体制が整備されているかどうか評価する制度のことです。
社内の規定と記録様式を確認する「文書審査」と実際に運用されているか確認する「現地調査によって、認定するか判断されます。
Pマークを取得する会社は、オフィスで個人情報が保管されているエリアを施錠管理する必要があり、その他のUSBメモリーやモバイル機器なども施錠しなければいけません。
Pマークの目的としては、プライバシーマークを目に見える形にすることで、消費者自身の個人情報保護に関する意識を向上させることです。
事業者にとっては、Pマークを取得することができれば、法律的に信頼できる会社であるということをアピールすることができるため、消費者にアピールするための有効なツールとなっています。
ISO取得によるメリット
まずはISO取得によるメリットについて解説します。
信頼を得ることができる
ISOは品質に関するマネジメントシステムであり、ISOが定めた国際基準をクリアしていないと取得することができません。
そのため、ISOを取得しているということは品質が高いという証明であるため、消費者からの信頼を得ることができます。
ISOを取得している企業の大半は、製品のパンフレットや製造工場の入り口、自社のホームページ、社員の名刺などに掲載して、アピールしていることが多いです。
生産性を高められる
ISOを取得するためには、「作業手順の明確化」というステップがあるため、ISOを取得するために普段の作業を見直すことになります。
ISOを取得するために作業を見直すことで、組織のシステムが確立されるようになるため、生産性が高まります。
従業員満足度を上げられる
ISOでは、作業手順を明確にするだけでなく、責任と権限に関しても明確にしなければいけません。
そのため、従業員は自分自身の役割を明確にすることができ、理不尽なことで怒られるということがなくなり、従業員満足度を上げることができます。
Pマーク取得によるメリット
次に、Pマーク取得によるメリットについて解説します。
従業員の意識向上
Pマークを取得するためには、従業員教育を行う必要があるため、その教育を通して従業員の意識を向上させることができます。
教育では、個人情報に関する基礎知識や自社の個人情報の取り扱いに関するルールなどを学ぶことが可能です。
教育を行い、確認テストを行うことで、従業員の質を高めることができ、意識を向上させることで、生産性や質を高めることができます。
優秀な人材を確保できる
Pマークを取得しているということは、優秀な企業であるということの証明でもあるため、意識の高い、優秀な学生はPマークを取得している企業にしか履歴書を送らないということがあります。
そのため、Pマークを取得するだけで優秀な人材が集まるということはありませんが、優秀な人材を確保する可能性は高まります。
特に中小企業は、Pマークを取得しているかどうかが、優秀な学生を確保できるかに関わってくるため、Pマークを取得しておくようにしましょう。
個人情報保護法への対策
情報化が急激に進行したことによって、個人情報保護法が改正されました。
Pマークを取得するということは、個人情報保護法に対応した個人情報保護体制を構築するということの証明になります。
そのため、個人情報を取り扱う際に対応を明確にして、確認できるようになるため、個人情報保護法を対策することが可能です。
ISOとPマークの違い
ISOとPマークは似ているため、あまり違いが分からないという人も多いです。
そこで、ISOとPマークの違いについて解説します。
規格
PマークとISOは、保護する対象が異なります。
Pマークでは個人情報を保護しますが、ISOでは情報資産の全てが保護対象となるため、ISOの方が保護する対象の範囲が広いです。
また、ISOは世界で定められている国際基準ですが、Pマークは日本でしか制定されていないため、日本国内でしか通用しません。
ISOは世界基準での情報セキュリティを承認されるということであるため、国際的なやりとりを行うことが多い企業はISOを取得する場合が多いです。
Pマークは、企業ごとでの取得しか認められていないため、必ず会社全体を認証範囲としています。
しかしながら、ISOは部分的に認証するといったような認証範囲を設定することが可能です。
審査
Pマークは企業内の全ての個人情報の取り扱いが審査の対象となるため、比較的厳しい審査をクリアする必要があります。
保有している個人情報を保護することが目的であるため、手順や作成する文書などが企画で定められており、規格から外れている場合には、認証取得することができません。
また、一度取得したから良いというわけではなく、維持するためには2年ごとの更新審査を受ける必要があります。
審査の費用は規模によって変わってきて、新規取得時と更新時で変わってくるため、審査を受ける前に確認しておくようにしましょう。
ISOは、情報資産を保護することが目的ではなく、保護するための仕組みや体制づくりが求められています。
そのため、決まった手順がなく、企業内の情報資産に対しての114項目の審査ポイントをもとに自社に合わせたルールや文書を作成することが可能です。
認定の期間は3年間となっていますが、1年に1度維持審査があるため、結果的に毎年審査を受けることになります。
ISO審査の費用は審査機関によって変わってくるため、注意しましょう。
対象人数や拠点数によっても価格が上がってくるため、審査を受ける前に確認することが大切です。
取得されている業界・市場
PマークとISOでは、取得されている業界・市場も変わってくるため、解説します。
Pマークの取得企業数は全国で約17,000社で、ISOの取得企業数は約I 8,000社です。
Pマークは、個人情報を取り扱うBtoCのサービス企業の取得が多く、人材派遣業、印刷業、ITシステム業などもあります。
また、官公庁の入札案件参加条件としてPマークが必要になる場合もあるため、Pマークを取得しておいた方が良いでしょう。
ISOは、情報セキュリティ対策が安全であるということを証明するために取得している企業が多く、BtoCのサービス企業やITシステム業が取得していることが多いです。
ISOとPマークのどちらを取得するべきなのか
ISOとPマークのどちらを取得するべきのかという疑問を持っている人は多いですが、取引先からの要求や入札案件の入札条件としてどちらが求められているのかによって変わってきます。
Pマークは、個人情報の取り扱いにより特化した運用ルールを遵守する必要があるため、個人情報を多く取り扱う企業はPマークを取得しにいく企業が多いです。
ISOは、丈夫おセキュリティ対策がとられているかの認証マークとなるため、システム開発や運用をよく行うITシステム業が取得していることが多いです。
しかしながら、情報セキュリティ対策の中には、個人情報の取り扱いも含まれているため、Pマークを取得した方が良いというわけではありません。
そのため、お互いの規格の違いを理解した上で、顧客要求に従い、PマークかISOどちらを取得するか決めておくようにしましょう。
まとめ
本記事では、ISOとPマークの違いやどちらを取得するべきなのかについて徹底解説しました。
結果的には、どちらを取得した方が良いというのか企業によって変わってくるため、PマークとISOの特徴を把握した上で決めるようにしましょう。
ISOとPマークは規格、審査、取得されている業界・市場が変わってくるため、それぞれの特徴を把握しておくことが大切です。
ISOかPマークのどちらを取得するのかは大切になってくるため、慎重に決めるようにしましょう。